本
最近、よくTVでも見かける様になった、成田悠輔の著書。総じて、資本主義、民主主義の行き詰まりに就いて忌憚なく論じた内容になっており、批評ばかりでソリューションを掲示していないものと比べると、此方は(かなり極端な事例だが)色々な角度から処方箋を…
2021年下半期直木賞作品。偶然というか、この期の受賞作は2作とも時代小説。ただ、こちらの作品は、時代小説の姿を借りた推理小説。京都アニメーションによるアニメ化もされた現代ミステリー小説「氷菓」で文壇デビューした米澤穂信による今作は、織豊時代を舞…
ここのところ立て続けに高座を観に行く機会のあった柳亭小痴楽。あの独特の佇まい、語り口はどこから来るものなのか知りたくなり、前半生を綴ったエッセイを読んでみた。柳亭痴楽を父に持ち、放蕩な10代を過ごし、16で桂文治に弟子入り、その後父の門下とな…
キャッチーなタイトルに惹かれて読んだ。が、全く心に刺さらなかったし、クスリとも来なかった。やはり、この手の話というのは、体験者の臨場感をライブで聞くのが効果的であり、しかも自分の見知った人から聞くのが大事なのだなと思った。見知らぬ誰かの失…
地政学、外交、国防などの書籍で、必ずと言って良いほど言及される人物、小村寿太郎。中学高校で習う日本史では、完全に脇役なので彼に関する知見は殆ど持ち合わせておらず、今回詳しく知ろうと思い、この本を手に取った。小さな体で走り回る姿から「ねずみ公…
思わず手に取ったのだが、完全に名前負けの内容。知らなかったネタはほとんど無く、専ら「復習」のための本となった。ただ、その中でも「へぇー」と面白かったのは、僕らの心に残っている名ゼリフの多くは、実はさほど作品中で連発されたものでは無かった、…
府知事から市長に鞍替えした橋下徹がいったい何をしたいのか、漸く分かった。そして、彼の挑戦が現行の制度ならびに現行の衆愚の中で如何に困難かも理解出来た。要するに、明治維新さながらの変革が今求められているのに、がんじがらめの制度・目先で判断す…
先週、スカイツリーに行ってきた(下から見ただけだが)ので、関連書籍でも読もうと思い、手に取った。マンガ「シブすぎ技術に男泣き!」のスピンオフ本なのだが、全く内容が無かった。恐らく、企画ありきで、たいした内容も無いのに無理矢理ボリュームを出して…
武器売買がテーマのアニメ「ヨルムンガンド」を観ていて、国際紛争の実態を少し知りたくなり、手に取った本。まず、国連や国際NGOから紛争解決に関して名指しで指名される程有能な日本人が居たことを知らなかったとは、恥ずかしい限り。東ティモール(東南アジ…
「1万人、10万人の読者のためにではなく、具体的なひとりの読者のために、本を作っていきたい」という夏葉社が復刻した廃刊本。 言ってしまえば、古本屋の親父の回顧・随想を集めた本なのだが、流石に歴々の名著に精通しているとあって、その日本語の使いこ…
マンガ「僕はビートルズ」完結。全10巻。新人賞受賞作(原作)を、「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじが作画したもの。現代でビートルズのコピーバンドをやっていた4人が、ビートルズのデビュー前の東京にタイムスリップしたら・・・という設定で、物語は進む。話の結…
昭和初期の文豪、上林暁(かんばやしあかつき)の作品集。廃刊本の復刻を得意をする、夏葉社が刊行したもの。上林は、出版社勤務を経て作家に、その後、妻が精神病に、その後失明し他界、自らも脳溢血で半身不随になるという、壮絶な人生を歩んでいる。特に妻…
筆者は、「攻殻機動隊」「イノセンス」「スカイクロラ」などのアニメーション作家の押井守。作中、独自の世界観が描写されることが多いので、本書もさぞかし特異な表現なのかと思ったが、日本・日本人のあるべき姿を筋を通して記しており、3.11以降の情動的…
キングコング西野が書いた絵本。芸人という域を大幅に超えて、絵も物語構成も「作家」である。やはり第一線に生き残っている芸人というのは、芸事に長じている人が多い。内容は絵本といいながら、子供にはちょっと理解出来ない様な感じ。というより、心が純粋…
日本を取巻くエネルギー環境(中東依存のエネルギー、東シナ油田、外洋のメタンハイドレード、など)をきっかけに、一度ちゃんと地政学なるものについて理解したいと思い、手にした本。84年刊行の本だが、内容的には全く色褪せていない。地政学の生立ち部分…
原発事故以降、この手の本は数多出版されているのだが、情緒的なもの、不正確なもの、客観性に乏しいものが多く、あまり目を通さなかったのだが、その中で数少ない「真実」を伝えているレポートだと思う。インタビューや過去の報告書に基づいており、「だと…
宮大工の棟梁のインタビューを纏めたもの。彼の設立した大工集団の会社「鵤(いかるが)工舎」での体験を通じて、人材育成とは何なのか、持論を展開する。「親方と弟子双方の忍耐があるから思いやりや気づきが生まれる」、「痛いところに触らないと一番最低が平均…
古本屋で見つけて手に取った本。刊行は2005年だが、内容的には全く色褪せていない。私個人は、最早日本は政治から変革を起こすのは困難で産業から変えていくしか無いのでは、と思い始めているのだが、この著者の石破茂は私が「国士」と思っている政治家の数…
元三井物産役員が、商社の概略とあるべき姿について書いた本。前段は、「商社ってなにしてるの?」という疑問への回答としてとてもよく纏まっている。後段は、商社というより、サラリーマン心得のような内容になっているが、コンサルやコラムニストや何かに…
所謂、「ワンピース」をビジネス目線で説いた本。主として、経営戦略、組織行動、人的資源管理、モチベーション、リーダーシップ、マーケティングの側面から総合的に書いてあるのだが、ちょっと総花的なアプローチで、結果、内容的に浅い印象を受けた。ゆえに…
自分の短い睡眠時間についての是非を判断したいと思い、読んでみた本。よくよく見たら、この著者、医学博士でも無ければ、モノ書きでも無いのね・・・独学や人と会って得た情報をもとに、独自の理論構成を試みているようだ。だが、根拠の無い、主観的な主張…
人間の利他的な行動を、社会学ではなく、生物学なかでも遺伝学の観点から論じた書。我々が考えている、人間に後天的に身に付くと考えている多くが、実は遺伝的なものであることに驚いた。例えば外向性や情緒安定性は遺伝的要素が高いという。更には乳幼児期…
www.one-stroke.co.jp 駒形克己の絵本「Little tree」。開いたページの中央部に1本の木が生えている「飛び出す」絵本。木の一生を淡々と語っていて、何やら読む側があれこれ考えてしまう。人生やら、物事の移り変わりやら、物の余韻やら。こんな素晴らしい作家…
著者が生来の学者でないこと、モノ書きを左程沢山していないことから、ちょとクセのある文章だが、独特の着眼で書かれていて興味深かった。時事ネタを書いた1章、3章ははっきり言って論拠に乏しい自説の展開でちょっと納得性が無いのだが、2章は著者の強…
最近巷で聞く「イクメン」なる言葉に違和感を感じていたので、この本の内容はスッと入ってきた。こんな時勢だからこそ敢えて言いたいが、愛情を言動で示すのが母性、背中で見せるのが父性だと思う。本書は、所謂そんなに献身的に育児をしない、月並みな父親の…
ちょっと前は子供向け、今は芸能人向けに、分かり易く経済・政治を説明している、池上彰の本。小説界では専ら市民権を得ている「ライトノベル」だが、この本は差し詰め3.11後の日本の周辺環境を平易に説明する、ビジネス書の「ライトノベル」といった感じ。書い…
二宮清純のエッセイ。プロ野球に関する圧倒的な知見、生の声、データをもとに、著者の考えるプロ野球の在り方、名選手の条件、ある特定選手の日頃見えない努力などを事細かに書いている。困った時は客観的情報に基づいて判断する、自己分析に基づいて自分の…
学術的なアプローチではなく、著者があらゆる年代・職位の人と接触した経験から体系的に纏めているので、読み易い。 世代を紋切的に分類してしまうマスコミにより年代間に相互不信が生まれた経緯、昨今のゲーム化傾向の強いシューカツの実情など、過去から現…
フラッと立寄った古本屋で105円で購入。あまのじゃく、食わず嫌いで今まで養老孟司は読まなかったんだが、取敢えず対談集から手に取ってみた。表層的には、環境・食料・エネルギーに関してマスコミが展開する暴論を、様々な角度からひっくり返し、持論を展開…
職業、職種、男女、年齢による給与格差・フリンジ格差についてデータをもとに記した本。既に周知の事実が割と多いが、公務員をいっしょくたにくくってしまうことの危うさ(キャリア官僚や教職者は相対的に薄給、用務員などを削減対象とすべき)、国家的に女…