JAPAN IP STUDIO

Share the love of Japanese IPs (Manga/Anime/Game/Novel/Event)

【本】コミュニケーションは、要らない

筆者は、「攻殻機動隊」「イノセンス」「スカイクロラ」などのアニメーション作家の押井守
作中、独自の世界観が描写されることが多いので、本書もさぞかし特異な表現なのかと思ったが、日本・日本人のあるべき姿を筋を通して記しており、3.11以降の情動的な動きへの強烈なアンチテーゼとなっている。
言語で遊ぶが言論しない、その場凌ぎで根本的な手を打たない、課題をこねくり回した挙句責任を取らない、為政者・各領域の責任者が情動的に動く、などここ最近の日本の様子に強い警鐘を鳴らしている。
その原因の一部を、地政学や国防に求めている点については、とても共感出来た・・・私も最近そう考えるようになり、「国防」(石破茂)、「地政学入門」(曽村保信)を読んだところだったので。
ただ一点、筆者が終始悲観的(もしくは彼にとって現実的)に現状を糾弾する論調については、敢えて「そういう日本だから今の日本がある」んぢゃないかなというツッコミを入れたくなった。言語表現の多様性や曖昧性、国防を他国に依存したから成し得た急速な戦後復興、情動的な行動特性ゆえの団結力。そういう特性を持った国が資本経済の中のトップ集団に1国くらいいても面白いぢゃないかと思う。それでも、やはり最近は決めなきゃならない最低限のことすら決めてない気がするけどね。
やはり、明治期~昭和初期の為政者がどんな大決断をしてきたか、もう少し知りたくなった。