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【本】上林暁傑作小説集『星を撒いた街』

昭和初期の文豪、上林暁(かんばやしあかつき)の作品集。
廃刊本の復刻を得意をする、夏葉社が刊行したもの。
上林は、出版社勤務を経て作家に、その後、妻が精神病に、その後失明し他界、自らも脳溢血で半身不随になるという、壮絶な人生を歩んでいる。
特に妻が患ってからの作品群は「病妻物」と呼ばれており、文調は常に颯爽、飄々、淡々としており、「なんて可哀そうな」という感想をこちらに一切持たせることなく、「微笑ましさ」すら醸し出している。
本書は、7本の短編作品が収められており、個人的には病妻物の「晩春日記」や初期の作品と言われる「星を撒いた街」などが秀逸だと思った。いずれも読みながら、頭の中で登場人物が勝手に動き出しそうな感じ。