気になる三人会と題して定例開催されている、三遊亭萬橘、柳亭小痴楽、瀧川鯉八の3人の噺家による会。
が、私が気になっていたのはこの3人ではなくて、3人に交じって一人独特の芸風を持つタブレット純で、今回もどちらかというと彼目当てで観に行った。
会場は50%制限だったが、かなりの賑わい。
前座のあと、鯉八が訥々とした喋りで、枕からの自然な流れから新作落語「多数決」を披露。呂律の回り切っていない不思議な喋り口調で、オチ前が軽く噛んだのも御愛嬌。
続いて登場の小痴楽が、すかさずべらんめえ口調で後輩が噛んだのをこき下ろして、まくしたてる様に古典落語「崇徳院」。恋煩いを題材にした噺だが、ロックの様なテンポ感でかなり独特。
仲入り後、お目当てのタブレット純登場。THE ALFEEの高〇沢の様なルックスで、か細い声でMCをするが、出自はマヒナスターズの晩年のメンバーであり、昭和歌謡の歌い手。それが、小学生の算数の文章問題集の有り得ないシチュエーションに1人ツッコミして歌い上げるというネタをやる。終始グダグダなのも観ていて楽しかった。
噺家2人とパーフォーマー1人で醸し出した混とんとした空気を、一気に真っ当な寄席小屋の空気に戻したのは、萬橘。立川流がよくやる井戸の茶碗を、高い地声と軽妙な語り口で。比較的長い所要時間の演目だが、ザワついた会場の空気が徐々に落ち着いていって、最後確り落してくれた。
タブレット純は勿論だが、小痴楽のハイテンポなロック、萬橘のブレない噺、は予期せぬ収穫。