神田伯山独演会。
前座2席に続いて、伯山による4席。
「源平盛衰記 扇の的」は、源平合戦屋島の戦いにおける那須与一が平宗盛率いる軍勢が用意した船上の扇の要を射抜く有名な話を凛々しい口調で一気に語り倒す。
「三方一両損」は、講釈種で今でも多くの落語家や講談師が得意とする演目。江戸を舞台に、落した財布を届けた際の受け取る受け取らないの揉め事を大岡越前が機転を利かせて裁くというもの。落語とはまた違った語り口で、物語の抑揚が新鮮に響いてくる。
「四谷怪談 お岩誕生」は、講釈、歌舞伎の有名長編演目の第一話。幽霊の代表選手ともいえるお岩が母から生まれてくる話。前2つの噺から打って変わって、今度はおどろおどろしい語り口で、生まれながらにして彼女が怨嗟の因果律の只中に居ることが分かる。
「清水次郎長傳 第一話 長五郎の生い立ち」(仲入りあと)は、3代目神田伯山(因みに今の伯山は6代目)が得意とした長編の任侠噺の第1話をたっぷりと。先日、柳家三三の「小松の生い立ち」を聞いたのだが、これとはまた異なる語り口の派手な長五郎の逸話が展開される。
4席何れも見事な講談で、何れも今の時代・世代への配慮からアレンジや時間配分が成されていて、おおいに堪能した。