お友達が出演する舞台を観に。
久しぶりの帝劇、演目は19世紀のフランス文豪ヴィクトル・ユゴーの「The Man Who Laughs(笑う男)」。
彼の他作品「レ・ミゼラブル」「ノートルダム」同様に、ヨーロッパの身分社会、貧富の差を痛切に訴えかける内容となっている。
17世紀の英国を舞台に、見世物小屋に出すために人為的に「口裂け男」にさせられた少年~青年の数奇な運命を通じて、豊かさ、人間らしさとは何なのかを描いた大河劇。
今や、すっかり見ることの少なくなった「見世物」。日本では、古典落語にもまま登場、現代劇作家寺山修司が主宰した劇団天井桟敷でもたびたび取り扱っている。米国では、大ヒットした映画「The Greatest Showman」は見世物集団を率いた実業家バーナムの話である。
人の悪意により醜悪な見た目にされたが心の澄んだ主人公グウィンプレンと、生まれながらに病弱で盲目の歌姫デアの悲恋を軸に、時代や身分に翻弄される周囲の人々の姿を強烈にデフォルメして描いている。話の構成も人物の立場も全然違うのだが、結末のやるせなさが、三島由紀夫「春の雪」っぽいなと思った。
元が海外演目のせいか、劇中の歌唱曲の日本語訳詞が独特な節回しになっているのが序盤気になったが、音楽、歌唱、演技、セット、などによってどんどんその世界観に惹き込まれた。
暗い、救われない、などと言う人もいるようだが、私は非常に好きな内容だった。