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【本】塞王の楯

2021年下半期直木賞作品。
受賞作2作とも時代小説となったうちの片方。
「黒牢城」が時代小説の姿を借りた推理小説とすると、この「塞王の楯」は、好敵手の争いを軸としたスポーツもの、あるいは技術戦争を軸としたビジネス小説、とも取れる内容になっている。
織豊時代末期、崩れない石垣を組む穴太(あのう)衆と、何でも打ち砕く鉄砲・大筒を開発する国友衆を楯と矛にみたてて、ストーリーが展開する。それぞれの若き指導者が、関ヶ原前哨戦、大津城攻略戦で最終激突するのだが、臨場感満点の描写となっている。
先述の「黒牢城」が極めて文語体に対し、この「塞王の楯」は割と口語体で描かれており、時代小説慣れしていない人にもスラスラ読めるようになっている。
限られた史実を、フィクション要素で埋めていく、という手法は、「黒牢城」も「塞王の楯」も同様。
既にプロジェクトが始動しているのかも知れないが、実写映画などになったら、面白いのではないかと思う内容。

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