2022年3月公開のアニメ映画。
タイトルに2021年とあるが、コロナ禍などの影響で公開は2022年となっている。
実に41作品目となる劇場版ドラえもんは、6年ぶりとなるリメイク作品、要するに新たな原作を作らずに作られた作品となっている。
故に、前の作品(1985年)と比較が出来てなかなか面白かった。
ストーリーの基本線は変更無く、地球外のピリカ星からやってきた小さな人型生物の戦争をのび太たちが終結させるというもので、ピリカ星の若き指導者パピとのび太の友情を軸に話が進行する。前作理知的で冷静だったパピは今作では心優しく情熱的なキャラクターに変わっており、これをサポートする役割でパピの姉が登場している。
また、劇場版ドラえもんあるあるとして、ジャイアンの男気キャラが特徴的なのだが、加えてこの｢のび太の宇宙小戦争｣では、1985年版ものび太が割と勇敢で凛々しい設定になっている。故に、1985年版では物語の終盤、極めてスムーズにキャラクター皆が一致団結して勇敢に敵に立ち向かっていくのだが、今作では、なかなか勇気を振り絞れないリアルな役どころを中後半スネ夫が好演している。ファミリー向け作品ながら、最後の最後までメンバー皆の異なる心情が丁寧に描かれている。
更には、後半の戦争シーンの銃撃では、キャラクターが銃の性能上、敵を殺していないことを丁寧に説明、最終的にはピリカ星の住民が自分たちの手で軍事クーデターを阻止したことを大きくアピールしており、御時世への配慮も忘れていない。
非常にバランスの取れた、ファミリー作品で、素敵だった。
